毎食後歯磨きをしているのにむし歯になるのはなぜでしょうか?



最近では、「オーラルケア(むし歯や歯周病の予防)」や 「プラーク(歯垢)コントロール」という言葉が一般的になってきていますが、 毎食後、歯についた食べ残しや汚れなどをきれいに取り除き、 口の中を清潔に保つことができれば、 むし歯になる可能性を非常に下げることが可能です。

しかし、歯磨きの正しい方法や注意点、むし歯になるメカニズムなどを 理解せずにただ歯を磨くだけでは、毎食後に歯磨きをおこなっても 歯周病やむし歯になってしまう可能性が高まりますので、 「むし歯を予防するための歯磨き」ができるようになりましょう。
1.まずは、むし歯のメカニズムを理解しましょう。
食べ物を食べると、虫歯菌が食べかす(糖質など)から酸を作り出し口の中が酸性の状態になり、 歯の表面の成分が溶け出す「脱灰」が始まり、むし歯になりやすくなります。

その後、時間の経過とともに唾液によって、口の中が中和され、中性の状態になっていきます。

中性の状態では歯の再石灰化(歯の自然修復作用)が始まり、酸性状態の際に歯から溶け出た歯の成分などを修復していくのです。

毎食後の歯磨きは、口の中の「虫歯菌が酸を作り出す原因の食べ残しや汚れ」を排除して、むし歯になりやすい酸性の状態の時間を短くするために行うのです。
2.歯磨きの開始時間に気を付けましょう。
体調や個人差がありますが、一般的には食後30分~60分程度時間が経つと口の中が酸性よりの状態になっていきますので、それまでには歯磨きを行うようにしましょう。
3.自分に合った歯ブラシを使いましょう
口に合わない歯ブラシの使用は出血や磨き残しの原因となりますので、自分の口に合った歯ブラシを選びましょう。
まず、ヘッドは上部の前歯2本分が基準となります。
毛の固さは出血しやすい方は「やわらかめ」、健康な歯茎の方は「やわらかめ~ふつう」を選びましょう。
4.磨き残しが出ないように丁寧な歯磨きを行いましょう。
磨き残しがあると、それがプラーク(歯垢)になってむし歯となっていきます。
歯磨きの際は強く擦るのではなく、プラーク(歯垢)の取り残しが出ないように優しく丁寧に歯を磨くことを心がけましょう。
5.歯磨きと一緒にデンタルフロスや歯間ブラシも併用で使用するとより効果的です。
むし歯の原因となる歯についた細菌のかたまりは「歯ブラシ」のみですと一般的な歯磨きでの除去率約は60%程度といわれています。

それが、「歯ブラシ&デンタルフロス」ですと約80%、「歯ブラシ&歯間ブラシ」ですと約85%と高い除去率になりますので、積極的に利用していきましょう。
6.定期的な健診やフッ素の塗布も虫歯予防にとても有効です。
どんなにしっかりケアをしても歯並びによっては、磨き残しが出てしまう場合もありますので、表面上はむし歯がないように見えても、定期的に歯科医院で健診を受けることをお勧めいたします。

また、歯の表面にフッ素を塗布すると、歯の再石灰化を助ける作用があり、歯を強くしてくれます。
歯科医院でフッ素塗布を受けることも可能ですし、歯磨き粉にもフッ素成分が含まれている商品が多く販売されていますので、自分に合ったものを選択しましょう。

なお、「歯を白くする作用のある歯磨き粉」には「研磨剤」が多く含まれているものありますので、薬局で薬剤師などに説明を受けてから購入されることをお勧めいたします。